【00-05】エピローグ ~ブラザー~
接点のない年の離れたナイト兄弟が、父の遺産「ロングスケール」を巡って巻き起こす様々な出来事が争いの根源となっている。
取り巻く環境も混沌と渦を巻くように絡み合う。そして各国の覇権争いも激化することとなる。
武器やシンボリック等が権力の象徴とされているから、限られた資源に対するリスペクトと欲求が同時に呼び起され、戦わずにはいられないのである。
セントラルシティ、イーストハイウエイ、北海連合(ルッシオの風)の三つ巴となった状況において、以降は個別のエアバトルで白黒をつける展開となる。
勝利し、独占という快感を味わう者、敗れ新たな動機を探す者、歴史が繰り返される中でオーディエンスは熱狂する。
第一章 完
以降の描写は文字だけだと伝わりづらいので、この物語は一旦完了といたします。ここまでお読み頂き誠にありがとうございました。
今後は、アナザーストーリーを書き溜めて、またリリースしたいと思います。
ブルースター・ストリーム
【03-06】北海連合
中央の覇権やイーストハイウエイに負けまいと、バストーラが作った連合がより世界情勢を複雑化させることになる
契機はやはりナイトクロックの登場だった。構想を具現化しようと、まずはミッドナイトパスタに資金援助を依頼し、各地域の盟主を招聘した。
結果としてダークタートル、ブランド・ジャック、ソードファイターズの剣持、そして預言者アルバロ・レディゴがメンバーに名を連ね、当初の付け焼刃感を吹き飛ばした一大勢力になった。
勿論、次世代の継承も見据え、セロライン、バッドステディオ、ブランド・ジュニアを研究員とし、できるだけ関わらせたことも大きな意義がある。バストーラはカリスマ的な戦略家だった。
連合は、会議の中で初めに強み、弱み、脅威と機会について検討した。
S:重工業とエネルギー
W:研究開発力
O:世界の構造におけるうねりと再編
T:新興グループ、ライバルの成長
その結果、素材とエネルギーを独占し、中央や南への供給を制限しようと考えた。考えうる影響は、施設・設備の建設停止や最悪中止、価値を生まないことによるGDPの低下。ナショナリズムが生み出す経済界の停滞等である。
やはり、資源やエネルギーを保有していることは絶対である。いくら中央が力をつけていようが、所詮、出来上がったものの運用でしかない。生命線を握るとはまさにこのことである。
【01-05】邪教
東の国にリング教という教団があった。端的に言うと、「みんなで手を取り合い、環になって踊ろう」という人達である。
教祖はエンディア。彼には虐げられてきた過去があり、克服する反骨精神を持っていた。その過程においてできたバイブルが経典となっている。
ただ、そんな背景もあってか、いささか乱暴な集金方法であることと、一度加入した場合、脱退が極めて困難なこと等から、東のロマンディア国内において、しばらく前に邪教認定されている。
行き場を失った彼らは、都心や人口密集エリアから逃げるように、山脈の何処かに拠点を移した。そこからは何の音沙もなく、長い間、表舞台には出てこなかった。
時は経過しナイトクロックが台頭してくると、堕ちた教団は世界を変えることができる影響力(インパクト)にあやかりたいと考え、反逆の徒としてもう一度見返そうと企んだ。
幹部のアッチとクニが窓口となりコンタクトを取り続けた。クロックも勢力拡大を目論んでいたため、アライアンスを構築するにあたっては原則的にウェルカムだった。
そして数か月後には「ルッシオの風」という新たなプロジェクトを組成した。
彼らは結果を残すため最善を尽くした。“風”は今後、すべてを飲み込むブラックホールのような存在となる、それくらいの可能性を感じた。
その後、さらなる協力関係を求めて北を目指すことになった。
【00-04】ドラゴンズゲート
シンボリックよりもさらに希少性が高く目撃例も極めて少ないが、この世界にはドラゴンも存在するという。
トカゲからイグアナ→ワニ→ティラノという出世魚のような過程の中で、極めて優れた知性を持つ者だけがドラゴン(現在は「三神竜」と呼ばれる。)に成ることができる。その確率は数百億分の1以上といわれているがもはや推察の域でしかない。到達までの期間は百年以上であり、ダークタートル同様の人知を超えた存在になっている。
棲み処は他生物が立ち入れないような場所であり、地図にも詳細が書いていない。また、以下のように三神竜をディスカバリーできる方法も異なっている。各地での噂を抜粋すると、
・東のブライト山脈、切り立つ峰の先にいるのが「ディスコード」
・北のゴンドラ山脈、溶けた氷の中にいるのが「クワイエット」
・南のディエゴ山脈、谷底のポケットにいるのが「ベイシス」
表現こそ違えど、概ねこのように語るのである。
命知らずしか到達できない、そんな究極を求める冒険野郎はいつでもどこでも必ず存在する。不可能に挑戦するという魅力、人生はすなわち“勝負”なのである。
仮の話だが、ドラゴン獲得後は、エアバトルでのゲームバランスが確実に崩壊するという。
【00-03】エア・バトル・コロシアム
生物は何かと競い合わないと生きていけない、その性(サガ)をITの力で具現化した技術がこの世界の常識となり数年が経過する。
単発の小競り合いが続けばきっとそれは雪だるま式に発展し、あらゆる生物にとって存続の危機が訪れることを誰しもが感じ取った結果であろう。
代わりに、エア・バトル・コロシアムという複合現実の闘いにより白黒をつける方式となった。
エア・バトルができる闘技場は主要各国に設置されているが、勝敗にはオーティエンスの声援が大きく影響するため、開催地の決め方も重要になってくる。
闘技においては、力、素早さ、体力、知力を勘案したABP(エア・バトル・ポイント)が設定されており、勝敗を決めるファクターになる。
何かと3ピースが多いこの世界ではエア・バトルにおいても3オン3形式の頻度が最も高い。
勿論スケールが大きくなることもあり、国と国のバトルにおいては、各国が威信をかけて臨み、勝戦国には金だけではなく土地や権利等の相当な戦利品を手に入れることができる。
なお、闘技の他にも料理や音楽といった様々なバリエーションが増えており、果物の種飛ばしという異色のバトルが行われたこともある。
要は当事者同士の決め様である。ただし、オーディエンスが興味を冷まさないように気を配る必要はある。
<主要国のコロシアム>
【08-03】リバース
ナイトコアにはナイトクロックという弟がいた。ただ、異父兄弟で年も10才以上離れており、一緒に暮らしたことはなかった。その接点がないに等しい弟が突然現れた。
ナイト家にはロングスケールという家宝がある。なんとマスタングの初期作品で、巷では謎の多い武器とされている。先代とは旧知の仲であったことから、資金援助の御礼にと贈られた可能性が高い。
蒼く儚げな色合いや影の付き具合から美術品としての要素も強く、現存する武器の中で最高傑作と言われている。
誰に吹き込まれたか、クロックはロングスケールにかかる相続の権利を主張してきた。彼の後ろには仲間も数人確認できた。皆、世間からのはみ出し者で、強い結束がある印象を受けた。
当然、簡単に渡す訳もなく、門前払いが正しい回答にはなるものの、一連の流れは今後を読み解くヒントにもなるかもしれないと考えていた。
後で分かったことだが、連中は流浪の民でありながら既に一定の勢力を持っており、ホームタウンと絶対的なモチベーションを探していたようだ。
招かれざる珍客は、不穏な空気の中、一方的に再会を予告しその場を離れていった。そして世界は動き出した…
<ロングスケール>
【08-02】中央の覇権
長い間、南北東西で均衡が保たれていたが、この10年であらゆる交易の中継地として世界の中央に位置するセントラルシティが急速に力を付けた事実がある。
科学技術を駆使して提供する役務の希少性と模倣困難性を武器に、世界中の様々なニーズに応えながら新しい価値を生み出し続け、文字どおり覇者として君臨できるレベルに到達した。
このように存在感を増した現在、必然と強くなるのがコントロールする力、いわゆる支配欲である。標的として北側エリアを脅威とし、モニタリングを強化している。
中央の本当の狙いは北東の地中深くに眠ると噂されている新たな環境資源。実用化が進めば、北に勝るモノづくりができるのだという。
世界を不気味な空気感が包み込む。その中で南東の裏切りや、北と西を中心とした新たな組織化の動きも見え隠れする。結果として、東はイーストハイウエイ、北と西は北海連合というシナリオの分岐が発生する。
果たして時代は誰を選ぶのか。ナイトコアはマッドスクリーモやソルトアタックにネズミ取りの指令を出しつつも、人材という資源の流出を懸念し内部の待遇や地位向上へ方針を変えようとしていた。