【01-05】レイニーとブーストティガー
東の国ロマンディアの南エリアには広大な竹林「チャルメロ」がある。普段はバンブービーという蜂をよく見かけるが、涼秋の夕刻、やや曇りがちな空の場合、運が良ければこの地のボスであるブーストティガーをディスカバリーできるという。
スカジャンに書かれそうなイカつい風体に赤・黄・黒のトラ柄は、局所的にツンと逆撫でられている。パラメーター上の防御力の値は小さいが東において最強の攻撃力を誇る。シンプロDBのランクは「B10」と中の中程度。
レイニーは未開の地を調査するフィールドワークが趣味である。現場に向かうフットワークと自らのロジックで答えを導き出せる高い知性を持ち合わせていたことからシンプロ適正が極めて高かった。
たまたまだったのか、竹林の中央部が燃え上がったように煌めいていた。不思議に思うと同時に、シンボリックとの遭遇を予感したレイニーはシャッターチャンスだと緊張した。その一瞬、ティガーが目前に現れたが、怖気づくことなくスナップに収めることができた。
早速DBにアクセスしてみると、まだ誰もこの猛き虎を登録した冒険者はいなかった。これが冒険の醍醐味だと嬉しさが込みあげてきた。なかなかお目にかかれない強面のシンボリックは、以後、エアバトルで存在感を大きくしていった。